ADHDの治療

ADHDの治療方法を考える

 ADHDとは日本語で「注意欠陥・多動性障害」のことをさし、発達障害の一種です。発達障害とは、子供が発達する過程でおこる障害で、何らかの原因によって、その発達過程が阻害され、運動、認知、抑制、言語などのさまざまな機能に障害が起こってしまうことです。発達障害には他に、LD(学習障害)やアスペルガー症候群と呼ばれるものがありますが、ADHDの子供には知的な遅れはなく、感情を自分自身でうまくコントロールすることができないだけの症状です。

 

 主な症状としては、注意力が散漫で、落ち着きがなく、感情のコントロールができないといったものが挙げられます。この症状が少なくとも2つ以上の状況(学校と家庭など)であらわれます。この特徴的な行動だけをみると、学齢期(6歳〜15歳)の子供の7%〜10%前後の子供があてはまりますが、日常生活や学習において支障をきたす子供は3%前後となっています。そのため、一般にADHDの有病率は3%前後とされていますが、成人後の頻度は日本ではデータがほとんどんどなく不明です。しかし、確実に大人のADHDも存在します。

ADHDの治療方法

 では、ADHDの治療方法はどのようなものがあるのでしょうか。治療方法としては薬による治療と、薬以外の治療方法に分けられます。

 

 薬による治療方法では、「リタリン」という薬が使われていましたが、2008年1月に厚生労働省がこの「リタリン」を実質的に使用を禁止し、処方が可能な医療機関は全国で100か所程度になってしまいました。原因は「リタリン」の不正処方などにあったようです。そのため、現在では「コンサータ」という薬が多く使用されるようになりましたが、18歳未満に診断されたADHDの患者に使われる薬であるため、大人のADHD患者は取り残されたままになっていました。しかし、2013年12月、厚生労働省が適用を拡大し、コンサータも「大人のADHD」の患者に使えるようになりました。これらの薬を服用している間は多動がおさまり、物事に集中しやすくなります。しかし、飲み過ぎると、食欲不振や頭痛などの症状が出ることがあり、正しく服用しなければなりません。
 =>ADHDの薬

 

 薬以外の治療方法としては、認知行動療法カウンセリング療法があります。

 

 その他には「トークンエコノミー」というものがあります。何かをうまくできたときには言葉で褒めるだけでなく、具体的な「ごほうび」を与える方法です。また、やってはいけない行動も前もって提示しておきます。「ごほうび」と「罰」は、提示した行動があらわれたとき、すぐに行います。課題は低めに設定し、達成感を得やすいようにしておくことも大切です。

ADHD治療のきっかけ

 ADHDで治療するきっかけはいくつかのパターンに分けることができます。

 

 まず、本人または周りの人が本人を連れてADHDではないかと受診に来るパターンで、もっとも多いといえるでしょう。

 

 また、うつ病や不安障害など他の病気の治療をしていくうちに、ADHDが露呈し、本格的にADHDの治療を始めるというパターンもあります。精神疾患の原疾患がADHDであることも少なくありません。

 

 そして、子どもの治療中に親のADHDが発覚するパターンもあります。子どもがADHDの治療を続けているうちに、実は自分もADHDではないかと医師に相談にくるのです。そういった人は普段から生きづらさを感じていたものの自分が病気であるとは分からずにいて、子どものADHDを目の当たりにすることで、自分がADHDではないかと気づくのです。

 

 きっかけはさまざまですが、ADHDも他の疾患と変わらず、早期に治療することが大切です。

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「パロキセチン」
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